伊吹山

場所
岐阜県不破郡関ケ原町滋賀県米原市

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ルート
伊吹山ドライブウェイの始端から終端までを自転車で登り、終端駐車場から山頂までは徒歩。


伊吹山には、ふもとの関ケ原町から伸びる、全長17kmの
有料ドライブウェイ(冬季休業中)がある。
その終端は駐車場となっており、そこから徒歩で伊吹山に登頂可能である。
山頂の標高は1377mである。


伊吹山ドライブウェイ入り口の駐車場は広い交差点付近にあるが、
信号待ちの車両等からの人目が気になったので
別の駐車場を探すことにした。


カーナビを見ると、近くに関ケ原ウォーランドがあるらしいので行ってみた。
そこには駐車場はもちろんあったが、偶然にも温泉があった。
入浴料が800円と少し高いが、伊吹山から帰ってきたときに
体の冷えと疲労を我慢しながら温泉を探さなくても済む。
伊吹山ドライブウェイに近いこともあり、ここで車をとめて、自転車に乗り換えた。


伊吹山ドライブウェイ入り口付近の駐車場を横切るときにふと気付いたのだが、
用のない駐車は罰金、みたいなことが看板に書かれてあった。
駐車場の小屋には誰もいなかったが、ここでの駐車は避けたほうが無難な気がした。


入口から100mほど上り道を進むと、通行止めのゲートがあった。
ゲートの手前横でおじいさんとおばあさんが地面に座って何かしていたが(昼飯?)、
僕の存在に気づいていないようなので、かまわずにゲートの下をくぐり抜けた。
ここのゲートは頑丈で、下をくぐるか上を乗り越えるかしかなかった。


伊吹山ドライブウェイは、ひたすら上り道だった。
上り道の最初のころは、自転車に取り付けた磁石式のスピードメーターで見ると
9km/h程度で登っていたが、この速度を持続するのはすぐに厳しくなった。
ここでは4月頃に自転車参加のヒルクライムレースが行われるらしい。
ヒルクライムってどういうものかはよく知らないが、
おそらくヒルクライムという言葉がふさわしい。
天気が良くて、気温が暖かかった。
花粉も飛んでいるようで、自転車をこぎながらくしゃみが止まらなかった。


途中、山の陰にトンネルがあった。
冷たい風が吹き抜け、車の轍以外には雪が積もっていた。
よく見るとその轍は結構新しかった。
今の時期はずっと通行止めだから、一般車両ではないはずである。
周りを見ると除雪はされていないから除雪車でもない。
どこかで工事か作業でもしているのだろうか?
しかし耳を澄ましても全くの無音だし、ひと気はもちろん全くなかった。


この無音は身を際立たせる。
圧迫されそうな静寂だが、
自分以外の存在が周りに何もないことを明かす静寂。
自分の存在は手を延ばした分だけ広がる。
その広がりは静寂の境界が映し出す。
静寂は自分の存在を映し出す鏡である。


看板に標高1000mと書かれた地点に駐車場があった。
ドライブウェイの終点かと思ったが、そうではなく展望台だった。
小屋があったが誰もいない。
アイスクリームと書かれたのぼりが小屋の中にしまわれていた。


展望台から東南を見ると、どこだかの市街が見渡せた。
市街の上空に、津波のように押し寄せてくるかのような雲があった。
西には琵琶湖が見えたが大気の透明度が低いためか、琵琶湖はうっすらと浮かんでいた。
こういう標高の高いところにあまり来たことがない。


まだまだ道路は続いている。
雪が道路を覆うようになってきたので、最近買ったチェーンアイゼンを
スニーカーに取り付けた。
チェーンの前後にゴムが伸びており、爪先と踵に引っかけるタイプのものだ。
氷の上でも全然滑らなかった。
これがあればもう尻餅をついて痛い思いをすることもないだろう。
と思っていたが、普通に歩いているだけなのにアイゼンがよく外れる。
足が痛くならないよう、一番締め付けが楽なのを買ったつもりなのだが、
逆にあだとなったようだ。
今度は別のやつを買おう。


進むにつれて雪はだんだんと道路を覆い、高さ2mはありそうな
雪が道路に積もっており、自転車を押して歩いていけなくなった。
道端に自転車を放置し、そこからは徒歩で行くことにした。


カメラを持った男性が二人、景色を撮影していた。
車で入って来れないはずだし、どこからどうやって来たのか。
カメラをぶら下げて歩いて来れる道があるのだろうか。


ようやくドライブウェイの終端に到着した。
駐車場からは琵琶湖が見渡せた。
やはり大気が霞んでいるせいか、いまいちである。
看板を見ると、北方に白山や北アルプスが見える日もあるらしい。
雪山は遠くに見えたが、どれがどれかわからなかった。


伊吹山山頂への歩道は3ルートあり、どれも雪が覆われていたが、
西遊歩道を上ることにした。
雪には一人二人の足跡が残っており、近くここを通ったと思われる。
雪は降っていないし、足跡はできたてではなかったので、
さっきの二人のものではないだろう。


もう少しで山頂というところ、疲労と空腹が限界に達し、もう歩けなくなった。
まだ昼飯を食べていなかったので(現在15:00)、近くの岩に座りコンビニ飯をほおばった。
パンがうまかった。
おにぎりもうまかった。海苔がパリパリでご飯もうまい。
滋賀県のコンビニはおにぎりがうまいのだろうかと思ってしまった。
だが、特にパンが涙が出るほどうまい。
普段は和食派であるが、今まで生きてきてこれほどパンがうまいと思ったことはなかった。


30分ほど休憩したのち、頂上を目指した。頂上はすぐそこだった。
どうせならそこで飯を食いたかった。
でも空腹限界で倒れそうだったし、仕方なかった。
山頂にはお寺の小屋があった。入り口には緊急避難場所とも書いてある。
お参りし、今日無事に上ってこれたことを感謝した。


標高162mから1377mまで4時間かけて伊吹山登頂を達成した。
帰りは寄り道した後、自転車で下った。
1時間半で関が原ウォーランドに到着した。
ウォーランドのそばにある温泉は19:00までやっていたので、
営業終了までの1時間ゆっくり漬かった。


もう日が沈んでしまった時間帯のせいか、温泉に入ってくる人はいなかった。
薬草風呂があり、のんびりと今日一日の疲れを癒した。
やっぱり疲れきった体には温泉が最高だな。
今度は登山ルートで登頂目指してみようか。